新潟県神社探訪

川内神社(村上市宮ノ下〈みやのした〉)

宮ノ下の川内神社社頭
川内神社(かわうちじんじゃ)は,三面川と高根川の合流点のやや下流の右岸に鎮座する。「一ノ宮河内神社」とも称す。
「神社明細帳」(明治十六年)に「岩船郡宮下村字上山 村社・川内神社」とある。
祭神は雲上佐市郎公である。雲上公とは,後白河天皇の第三皇子・頼仁親王である。
この地方に広く分布する伝承では,都から落ち延びてこの地に隠棲する親王が三面川で従者に弑され,従者も後に殺された。この地域に雲上公を慰霊する神社が分布している。
当社は安元二年(1176)の創立と伝える。
明治五年に村社に列せられた。
宮ノ下の川内神社二の鳥居宮ノ下の川内神社拝殿見上げ
木製の鳥居をくぐると石畳の参道が続く。石段を登り詰めたところに社殿が建つ。

宮ノ下の川内神社社殿全景川内神社拝殿向拝部分
拝殿正面の欄間は大きな彫刻で飾られている。

宮ノ下の川内神社本殿宮ノ下の川内神社本殿宮ノ下の川内神社本殿
本殿は,拝殿の背後に離れて建っている。側面は板で保護されているが,正面から細部を見ることができる。
宮ノ下の川内神社本殿向拝宮ノ下の川内神社本殿向拝欄間宮ノ下の川内神社本殿向拝
本殿向拝部分の彫刻もすばらしい。

川内神社境内社宮ノ下の河内神社狛犬
境内に天照皇大神を祭る神明宮がある。狛犬は昭和十二年(1937)。

当社を「延喜式」の「多伎神社」に比定する説があるが確証はない。(式内「多伎神社」の論社に,村上市岩ケ崎の多伎神社があり,これも「多伎神社」の有力候補である。)
頼仁親王(1201-1264)の鎮魂のために創立したという伝承を信じるなら,当社は式内社ではないことになる。
なお,雲上佐市郎公の二子を祭神とする河内二柱神社が高根川を15キロメートルほど遡った高根地区に鎮座する。

(新潟県村上市宮ノ下206)
2004.8.28, 2012.7.7


旧朝日村南部神社