大分神社探訪

薦神社(中津市大貞〈おおさだ〉)

薦神社内宮三角池
薦神社(こもじんじゃ)は「大貞八幡」とも呼ばれ,JR(日豊本線)中津駅の南東4.5キロメートルに鎮座する。
社殿の南西には三角池(みすみいけ)が広がる。この池が御神体で,「内宮」とされている。
清澄な湧水を湛える三角池(御澄池とも)は,古くから聖地とされ「八幡大菩薩が修行の時に湧き出した」という伝承もあり,宇佐神宮との関係が深く,当社を宇佐八幡宮の元宮とする説もある。
先進土木技術を持つ渡来人が開発した溜池と考えられる。
養老三年(719)に起きた日向・大隅の隼人の反乱の際,宇佐宮の大神諸男(おおがのもろお)が,池に繁茂する真薦(マコモ)で神の枕を作り,隼人討伐軍を率いる宇努首男人(うぬのおびとおひと)が薦枕を八幡神の依り代として神輿に載せて日向・大隅に向かい,隼人を滅ぼしたという。
承和年間(834-848)には社殿(薦社)が建てられた。
以後は,池の南方の八面山に鎮座する箭山神社(ややまじんじゃ)が奥院,池が内宮,社殿が外宮とされた。
天仁元年(1108)には七堂伽藍が建立されたが源平合戦の時に破却され,のちに再建された社殿も大友氏の兵火で焼失したという。
元和二年(1616),細川忠興(中津藩主)によって社殿が建造された。

薦神社社頭
薦神社呉橋薦神社呉橋
鳥居をくぐって三角池を右に見ながら参道を南東方向に進むと,武内宿禰を祀る黒男神社(くろおじんじゃ)の小祠と呉橋がある。
薦神社神門
参道が右に折れ,その先に美しい神門が建っている。
薦神社本殿薦神社本殿
神門の奥に三棟の社殿が並んでいる。
手前から八坂社(素盞嗚尊),中央が主祭神(應神天皇,比咩大神(田心比売命,湍津比売命,市杵島比売命),息長帯比売命)を祀る本殿,奥が応神天皇の皇子を祀る若宮社である。
薦神社拝殿
本殿の手前に横長の拝殿が建っている。
現在の拝殿と本殿は江戸末期の建造であるが,神門(二重門)には元和七年(1621)の墨書があり,細川氏の造営当時の貴重な遺構で,国の重要文化財に指定された(1988年)。
神門細部

薦神社拝殿
神門の手前に境内社が並ぶ一区画がある。
伊勢宮と稲荷社の小祠のほか,石塔,石祠,石仏などが置かれている。

(大分県中津市大字大貞209)
2018.12.12
大貞八幡宮薦神社(公式サイト)


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