蔵王社は,旧栃尾市の岩野外新田に鎮座する。
「神社明細帳」(明治十六年)に「古志郡岩野外新田字蔵王平 無格社・藏王社」とある。
伝承では,和銅元年(708)に大和国吉野山の蔵王権現が岩野原に勧請され,その後,三島郡矢田(長岡市寺泊矢田)に遷り(長岡市寺泊矢田の神明神社),さらに長岡市西蔵王に遷った(長岡市西蔵王の金峯神社)と伝えられる。
したがって,当社は奈良時代に勧請された蔵王権現の故地ということになるが,他所に遷座した蔵王権現が今なおここに祭られている経緯は不明である。
祭神は天水分神である。(金山毘古命と金山毘売命を合祀しているとする資料もある。)
社殿は比較的新しい。震災(2004年)の後に修築されたのであろう。
境内に「稲荷大明神」の石碑のほか,小祠(祭神等は不詳)がある。
この地で修行を積んで神通力をえた三尺坊が,石川雲蝶の彫刻で有名な谷内の秋葉神社に祀られているとする伝承がある。
(新潟県長岡市栃尾岩野外新田10番地)
2008.6.7