にいがた百景

芭蕉堂(新潟市中央区西船見町〈にしふなみちょう〉)

吉原芳仙の芭蕉堂
芭蕉堂は護国神社の鳥居近くに建つ石室である。
薄暗い社叢を散策していると,鮮やかな朱で書かれた「芭蕉」の文字が目に飛び込み,驚かされる。
新潟市(旧白根市)出身の画家,吉原芳仙(1897-1983)が私財五百万円を投じて制作し,新潟市に寄贈したもの(1966年)。
元禄二年(1689)六月に新潟で一夜を過ごしたとされる松尾芭蕉を偲ぶ作品である。
芭蕉の肖像画と由緒書を銅筒におさめたうえ,永久保存のためコンクリート詰めにしてあるという。

「海に降る 雨や恋しき 浮身宿」の句が新潟滞在にちなむものともされ,それが石室の側面に刻されている。(古町通の船江神社境内にもこの句を刻した浮身塚がある。)
隣に,同じ作者による「蓑塚」も立っている。

(新潟県新潟市中央区西船見町,JR新潟駅から徒歩40分)
2007.11.10


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