諸国神社めぐり

和伎座天乃夫岐賣神社(木津川市山城町平尾里屋敷〈やましろちょうひらおさとやしき〉)

涌出宮参道入り口
和伎座天乃夫岐賣神社(わきにますあめのふきめじんじゃ)は,JR(奈良線)棚倉駅の東に鎮座する。
涌出宮(わきでのみや)と通称され,参道の入り口にも「涌出宮」の石碑がある。
当社は『延喜式』(神名帳)所載の「和伎坐天乃夫支賣神社」(山城國相樂郡六座の一)に比定される古社である。
伝承によると,天平神護二年(766),伊勢国石津から天乃夫支賣尊をこの地に遷座し,ついで田凝比賣命と市杵島比賣命の二神を勧請し,地名によって「和支神社」と号したという。
近世の文献に「湧出宮」と見え,「湧」は「和支」の訛りという。
主祭神の天乃夫支賣の神名は他に見えない。
田凝比賣命,市杵島比賣命を相殿に祀ることから,天乃夫支賣は多岐都比賣と同一で,宗像三女神を当社の祭神とする説もある。
ただし,境内に掲示されている説明によると,祭神は天乃夫岐賣命と宗像三女神(田凝姫命,市杵島姫命,湍津姫命)の四柱で,天乃夫岐賣命は天照大神の御魂であるという。
明治十六年(1883)に郷社となった。
木津川の対岸に鎮座する祝園神社(相楽郡精華町祝園)と当社に,同名の「いごもり祭」が伝わっている。

涌出宮参道鳥居涌出宮四脚門
参道が途中で北向きとなり,四脚門の先に社殿が見える。

和伎座天乃夫岐賣神社社殿
本殿と拝殿は元禄期の建築で,京都府の有形文化財に登録されている。
その手前に前拝所(居籠舎)が建っている。
和伎座天乃夫岐賣神社本殿拝殿
本殿(檜皮葺三間社流造)と拝殿。
涌出宮本殿涌出宮本殿細部涌出宮本殿細部
涌出宮境内石祠
本殿の背後に石祠が三基並んでいる。祭神に対応するものだとすると,祭神は三柱(天乃夫岐賣命,田凝比賣命,市杵島比賣命)ということになる。
(ただし境内に掲示されている説明によると,祭神は天乃夫岐賣命と宗像三女神の四柱である。)

涌出宮境内社
本殿の右に,熊野神社,市杵島神社,大国主神社の社殿と天神社の社殿が並んでいる。
ほかに稲荷社,春日神社,熱田神社,日枝神社,八幡宮も祀られている。

(京都府木津川市山城町平尾里屋敷54)
2018.11.14


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