諸国神社めぐり

豊受大神宮正宮(伊勢市豊川町〈とよかわちょう〉)

豊受大神宮正宮
豊受大神宮(とようけだいじんぐう)は,伊勢市駅(JR参宮線)の南西600メートル,高倉山(117m)の北麓に鎮座する。
『延喜式』(神名帳)に「渡會宮四座 相殿坐神三座 並大」とあり,「大神宮三座」(現在の内宮)と並ぶ重要な宮である。
一般に「伊勢神宮(外宮)」と呼ばれる社域に複数の神社が鎮座するが,この「正宮」が『延喜式』の「渡會宮」(わたらひのみや)である。
伝承によれば,初め垂仁天皇(第十一代天皇)の御代に天照大神が五十鈴川のほとりに鎮座したが,その後,雄略天皇(第二十一代)の夢に天照大神が現れ「食事をやすらかにするため丹波国の等由気大神を招いてほしい」と告げた。
これにより雄略天皇二十二年,この地に,神饌を担当する御饌都神(みけつがみ)として等由気大神(豊受大御神)を迎えたのが起源である。
正宮の板垣の内に御饌殿があり,毎日の朝夕に天照大神に食事をすすめる「日別朝夕大御饌祭」(ひごとあさゆうおおみけさい)がおこなわれている。創祀以来,一日も欠かさずに続く最も重い祭祀とされる。
主祭神の豊受大御神(とようけのおおみかみ)以外の神は,「御伴神(みとものかみ)三座」で具体名はないが,『神名秘書』は,天津彦々火瓊々杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと),天兒屋根命(あめのこやねのみこと),太玉命(ふとだまのみこと)の神名を記すという。この三神は天照大神が岩戸を出る時に活躍した。
豊受大神宮正宮豊受大神宮古殿地
平成二十五年(2013)10月5日に遷御が行なわれた新しい殿舎と,次の式年遷宮を待つ古殿地。
豊受大神宮板垣南御門
正宮では撮影が禁止されている。

(三重県伊勢市豊川町)
2015.9.28


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