大分神社探訪

穴森神社(竹田市神原〈こうばる〉)

竹田市穴森神社鳥居
穴森神社(あなもりじんじゃ)は,大分と宮崎の県境に聳える祖母山(1756m)の北,4.5キロメートルに祀られている。
かつて「池の明神」「窟(いわや)大明神」とも呼ばれた。
周辺に,健男霜凝日子神社(たけおしもこりひこじんじゃ)下宮遥拝所(里宮)がある。当社を含めて祖母山信仰にかかわる祭祀を起源とする一体の神社で,『延喜式』(神名帳)の「健男霜凝日子神社」(豊後国直入郡)に比定される。
祖母山頂に「上宮」に相当する石祠があるが,そこでは祭祀はおこなわれていない。
竹田市穴森神社鳥居残骸竹田市穴森神社鳥居
真新しい鳥居の脇に,明治四年(1971)の残骸がある。
一般的な神社の参道とは異なり,参道は下り坂である。
竹田市穴森神社社殿
拝殿は四面ガラス戸である。
本殿がないのは,背後にある洞窟が神殿とされているからであろう。
竹田市穴森神社岩窟への道竹田市穴森神社岩窟
拝殿の裏手の石段を下ると,右手に巨大な洞窟がある。内部は暗くよく見えない。
かつてここに大蛇(嫗嶽大明神〈うばだけだいみょうじん〉)が生息し,人間の娘(華御本姫〈はなのおもとひめ〉)と大蛇の間に生まれた男子が,豊後武士団として知られる緒方氏(大神氏)の祖であるとする伝説がある(この伝説は『平家物語』巻第八「緒環」に見える)。
かつては水を湛えた池であったが,江戸初期に水が抜かれた。
元禄十六年(1703)には洞窟から大蛇の骨が発見されたという。

竹田市穴森神社境内竹田市穴森神社境内
境内に淡島様と生目様の石祠がある。

(大分県竹田市神原1432)
2017.3.19


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