新潟市神社探訪

白山神社(新潟市中央区沼垂東〈ぬったりひがし〉)

沼垂白山神社鳥居
白山神社は,新潟駅の東約1キロメートルの場所に鎮座する。一番堀通町の白山神社と区別して,沼垂白山(ぬったりはくさん)と呼ばれる。
「神社明細帳」(明治十六年)に「中蒲原郡沼垂町字上町 郷社・白山神社」とある。
創立年月は不明であるが,沼垂郡の総鎮守として創建されたとも伝えられる。明治五年に郷社格を得た。
「延喜式」記載の「美久理神社」(沼垂郡五座のひとつ)に当社を当てる説もあるが確証はない。新発田市田貝の二王子神社や新発田市東宮内の藤戸神社を「美久理神社」に当てる説もある。
「神社明細帳」が記す祭神は菊理媛命である。
大和政権の東北進出の拠点として大化三年(647)に「渟足柵(ぬたりのき)」が設置されたことが『日本書紀』に記されている。現在の「沼垂」という地名となんらかの関連があると思われるが,正確な位置は明らかでない。
「沼垂」を冠して呼ばれるこの神社の起源もかなり古いが,遷宮を繰り返し,記録も失われているために詳細は不明である。貞享元年(1684)の地図には,すでに現在地に記載されている。

沼垂白山神社社殿
現在の社殿は,弘化四4年(1847),名匠として知られる熊谷源太郎(小林源太郎)を棟梁として建てられたもの。総欅造りの堂々とした姿である。
沼垂白山神社拝殿向拝部分沼垂白山神社向拝の細部
細部に手の込んだ彫刻が見られる。
沼垂白山神社本殿
拝殿背後の本殿も小林源太郎の彫刻で埋め尽くされている。
沼垂白山神社本殿沼垂白山神社本殿向拝沼垂白山神社本殿手挟
沼垂白山神社本殿向拝沼垂白山神社本殿向拝木鼻沼垂白山神社本殿向拝木鼻

「神社明細帳」は境内社を八社記録している。神明宮(大日孁貴尊),稲荷神社(宇賀魂命),天満宮(菅原道真朝臣),秋葉神社(火産霊命),粟島神社(少彦名命),湯尾神社(素盞嗚尊),三輪神社(大物主命),厳島神社(市杵島姫命)である。
現在,境内にいくつかの小社が祀られているが「明細帳」とは一致しない。太子社,伊夜日子大神,大宮賣大神,古峯神社,菅原大神,後藤稲荷大神,大山祇大神,秋葉大神,粟島大神などが確認できた。
(その後,2015年からの国道拡幅に伴う境内工事で,幾つかの境内社が合祀されて新社殿が建てられた。)
沼垂白山神社境内の伊夜日子大神と大宮賣大神沼垂白山神社境内の古峯神社
大宮賣大神・伊夜日子大神(左)と古峯神社の祠(右)。
伊夜日子大神は弥彦山に鎮座する弥彦神社を勧請したものである。
社殿脇の神明宮碑
本社拝殿の脇に「神明宮」の標石が建つ。「神社明細帳」が記録する境内社の神明宮は本社に合併されたのであろう。

車道を挟んで乙子神社(おとごじんじゃ)が鎮座する。

(新潟市中央区沼垂東1-1-17,JR新潟駅から徒歩15分)
2003.2.17, 2008.9.19, 2016.6.12

参考:白山信仰とは?


新潟市中央区(沼垂地区)神社