にいがた百景

坂口安吾碑(新潟市中央区西船見町〈にしふなみちょう〉)

坂口安吾碑遠景
新潟市出身の坂口安吾(1906-1955)を偲ぶ石碑は,護国神社の境内の寄居浜を見下ろす砂丘に建っている。
この砂丘を少し下った西大畑町で安吾は生まれた。
(生家跡の近くに鎮座する新潟大神宮の参道に「安吾生誕碑」がある。)
盛夏の坂口安吾碑坂口安吾碑近景
「石の思い」「ふるさとに寄する讃歌」などを読むと,安吾が少年時代を過ごした海辺の風景がよみがえる。
碑の正面には「ふるさとは 語ることなし 安吾」と彫られ,側面には尾崎士郎名の建立趣意が刻まれている。(1957年に除幕式がおこなわれた。)

中学校をどうしても休んで海の松林でひっくりかえって空を眺めて暮さねばならなくなってから、私のふるさとの家は空と、海と、砂と、松林であった。そして吹く風であり、風の音であった。
……学校を休み、松の下の茱萸(ぐみ)の藪陰にねて空を見ている私は、虚しく、いつも切なかった。
(坂口安吾「石の思い」1946年)

(新潟市中央区西船見町,JR 新潟駅から徒歩40分)
2002.8.3,2005.3.20, 2008.3.21


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