新潟県神社探訪

江野神社(上越市名立区名立大町〈なだちおおまち〉)

名立大町の江野神社一の鳥居
江野神社(えのじんじゃ)は,JR(北陸本線名立駅の北西800メートル,明神山と称する丘に鎮座する。
当社は『延喜式』所載の「江野神社」(頸城郡十三座の一)に比定される古社である。
(上越市東本の直江八幡宮も「式内・江野神社」の論社である。)
古くは現在地の北東の鳥ケ首岬の崖上(名立小泊)に鎮座したと伝える。昭和九年(1934)の「県社昇格願」には,鎌倉時代以降に現在地に遷ったとしている。
当社のもともとの祭神は大己貴命だったようである。その後,谷口村(当社南方2.5キロメートル)に祭られていた牛頭天王社を元禄の初めに合併し,さらに時期は不明だが諏訪大明神も合併した。
天和二年(1682)に検地がおこなわれ,担当した奉行が諏訪因幡守の家臣の諏訪図書(すわずしょ)であった。これ以後,諏訪神を合祀している神社は諏訪大明神を社号とするよう指示され,当社も表向きは「諏訪大明神」と称した(今,社地を「明神山」と称するのはこれによるか)。
しかし「延喜式内・江野神社」を自負する当社は,現享和元年(1801)に「江野神社」への復号を願い出て許された。
現在の祭神は,建御名方命,事代主命,大己貴命,素佐能男命,稲田比売命,屋主忍男武雄心命,影姫命,武内宿祢命である。
名立大町の江野神社二の鳥居名立大町の江野神社三の鳥居
一の鳥居からまっすぐに石段が続き,二の鳥居がある。参道はそこから右に折れる。
少し進むと朱の鳥居があり,そこから先は突然薄暗い道に変わる。
名立大町の江野神社拝殿名立大町の江野神社拝殿額名立大町の江野神社拝殿内部
拝殿は,古社の風格のある重厚な造りである。
向拝部分を初め,至る所に見事な職人技を見ることができる。
拝殿の細部

名立大町の江野神社本殿
拝殿の背後の少し高い場所に本殿が建っている。端正な流れ造で,細部の彫刻も美しい。
本殿の細部

名立大町の江野神社境内の合祀記念碑
かつて当社の南の坪山地区に彦舅命(ヒコジノミコト)を祭神とする「十二八天狗」が祭られており,明治三年(1870)に十二神社と改称した。
これが大正十一年(1922)に江野神社に合併された。
今,境内の片隅に「十二神社合祀八十年記念之碑」がある。
これより先,明治四十四年(1911)には小泊村にあった山王権現と名立大町村の十二神社も合併している。

(新潟県上越市名立区名立大町)
2011.7.16


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