にいがた百景

鳥屋野の逆さ竹(新潟市中央区鳥屋野〈とやの〉)

鳥屋野逆ダケの藪
逆さ竹(逆ダケ)は,鳥屋野院西方寺(真宗大谷派)の境内(ただし飛地の境内)にある。正式名称を「鳥屋野逆ダケの藪(とやのさかさだけのやぶ)」という。
親鸞聖人(1173-1262)は建永二年(1207)に流罪となり,五智国分寺(上越市)で過ごした。西方寺の縁起の伝えるところでは,流罪二年後の承元三年(1209)に新潟の鳥屋野に移り,赦免までの三年間,この地に住んだとされる。周辺には聖人にかかわる伝説が多く,逆さ竹もそのひとつである。
逆さ竹(近影)逆さ竹(近影)
聖人がある時,竹の杖を地面に立てたところ,枯れ竹から根が生じて竹林となり,さらに枝が下向きに延びる奇瑞が起きたという。越後七不思議のひとつである。
大正十一年(1922)に植物学者の三好学(1861-1939)が竹林を調査し,国の天然記念物に指定された。
枝が最初の節で鋭角に下垂するのが本来の逆さ竹であるが,その発生率は減少傾向にあるという。聖人の遺徳が風化しつつあるからだろうか?

親鸞聖人歌碑
竹林の近くに親鸞の歌碑(写真の左隅)が建っている(1850年建造)。
「此里に親の死したる子はなきか 御法(みのり)の風になびく人なし」とある。
この地で布教活動を続けた親鸞聖人であるが,人々に主張が容れられないため,その苦悩を吐露したとされる。

(新潟県新潟市中央区鳥屋野3-1-22)
2009.6.7


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