旧斎藤邸は,地獄極楽小路の西100メートルにある。
斎藤喜十郎(斎藤家は海運業で成功し,新潟三大財閥のひとつ)が夏の別荘として大正七年(1918)に建てた貴重な建築物である。
「観月亭」と呼ばれる母屋の前に広がる大庭園は三年間かけて大正九年(1920)に完成した名園である。工費は25万円という。自然の砂丘地形を生かした小山が重なっており,老松とモミジが鬱蒼と枝を広げ,深山の趣がある。
庭の奥の築山の上に茶室(松鼓庵)がある。四方仏のつくばいが置かれている。
庭園に注目が集まっているが,屋内の各所にも質の高い美術・工芸の技が見られる。
左は佐藤紫煙(1873-1939)による「鶏と青竹」と題する板戸絵の一部。
(新潟市中央区西大畑町576)
2008.8.24, 2010.3.20