新潟県神社探訪

一宮神社(佐渡市宮川〈みやかわ〉)

宮川の一宮神社
一宮神社(いちぐうじんじゃ)は,旧畑野町の宮川地区に鎮座する。
「神社明細帳」(明治十六年)に「佐渡國雜太郡宮浦村字宮ノ腰 郷社・一宮神社」とある。
創立年代は不詳であるが,現在は,順徳天皇の第一皇女・嶋照姫命(慶子宮)を祭るために創立されたとする伝承が流布し定着している。当社の北西500メートルに順徳天皇皇女墓とされる史跡がある。
伝承では,慶子宮は嘉禄元年(1225)に生まれ,弘安九年(1286)に薨じたという。社号は,慶子宮が佐渡における第一皇女であることによるという。
当社の西1.5キロメートルには三宮神社があり,順徳天皇の皇子(千歳宮)を祭ると伝えられている。
しかし順徳天皇の皇子・皇女の存在については裏付けが乏しく,当社はそもそも佐渡の「一の宮」であり順徳天皇とは無関係だとする見解もある。
宮川の一宮神社社殿宮川の一宮神社本殿
一宮神社拝殿内部
当社の南に慶宮寺がある。明治以前は慶宮寺の住職が別当として当社の管理にかかわっていた。ところがこれとは別に,国分寺も当社に深く関与していたという。
この事実は,当社がこの地域の産土神ではなく,佐渡国一の宮であったことを裏付けるものだとも考えられる。
また当社の縁起を安康天皇(人皇第二十代)の時の勧請とする文献があるという。もちろん信頼の置けるものではないが,当社の来歴として順徳天皇とまったくかかわりのない伝承もあったことが知られる。

(新潟県佐渡市宮川)
2007.3.12


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