新潟市神社探訪

船山神社(新潟市西蒲区福井〈ふくい〉)

船山神社鳥居
船山神社は弥彦神社の摂社である。角田山の南麓に南向きに鎮座する。鎮座地は,旧巻町の中心部から五ケ浜に抜ける古くからの街道で,本社(弥彦神社)とは6キロメートルほど離れている。
「神社明細帳」(明治十六年)に「西蒲原郡福井村字坂山 弥彦神社摂社 舩山神社」とある。
天忍人命(アメノオシヒト)を祭神とし,合殿で葛木出石姫命(后神)と水主神,舵工神を祭る。
天忍人命は弥彦神社の第三世,すなわち天香山命の祭神・天香山命の御孫神である。この地に住んだ命は,船をよくあやつり,漁業にも秀でて,漁民に慕われたとされる。孝元天皇元年に神去り,この山に廟を建てて「舩山神社」と号したと伝える。
船山神社社殿船山神社社殿
船山神社社殿向拝柱船山神社社殿細部
拝殿は古いが手入れが行き届いている。細部の繊細な装飾も保存状態はよい。

船山神社本殿船山神社御神廟
本殿の背後に透垣の囲いがある。中に祭られている石祠が天忍人命の神廟である。

なお,天香山命の嗣神のうち当社が祭る天忍人命以外の五神を祭る社殿は,すべて弥彦神社の境内社である。
思うに,太古から弥彦山・角田山一帯で祭られていた神々が,しだいに弥彦神社の天香山命の系譜に統合されていった経緯を示しているのであろう。
しかし,なんらかの事情で完全に弥彦神社に吸収されなかった神があり,この船山神社のように遠隔地(本来の鎮座地か?)に祭られている神もあり,また本殿は弥彦神社の境内に建てられたものの神廟が離れている樋曽の今宮のような事例があるのであろう。

(新潟県新潟市西蒲区福井)
2005.5.15, 2009.6.14


新潟市西蒲区(旧 巻町〈浦浜,峰岡地区〉)神社