新潟県神社探訪

五十嵐神社(三条市飯田〈いいだ〉)

五十嵐神社鳥居
五十嵐神社は,JR(信越本線)東三城駅の南東9キロメートル,旧下田村の飯田地区に鎮座する。
「延喜式」所載の「伊加良志神社」(蒲原郡十三座の一)の論社である。ここから7キロメートルほど遡った八木鼻の下に鎮座する八木神社を「伊加良志神社」とする説もある。
「神社明細帳」(明治十六年)に「南蒲原郡飯田村字宮浦 村社 五十嵐神社」とある。
主祭神は五十日帯彦命(イカタラシヒコ)である。
五十日帯彦は垂仁天皇の皇子で,当社は古くは若一王子と呼ばれていた。王子は北陸開拓に尽くしてこの地で薨去し,産土神として祀られたと伝える。
現社地の南400メートルに「五十嵐館跡」があるが,当社は館の鬼門守護として館の近くに祀られていたという。その後,館の北に移転し,さらに明治になって現在地に移った。
明治五年(1872)に村社となり,同十年(1877)に村内の十社(大日孁尊,大山祇命,応神天皇二座,健御名方命二座,倉稲魂命四座)を合祀した。 大正二年(1912)には県社に昇格した。

五十嵐神社参道
社殿の建つ場所は丘陵になっており,手水舎の横の石段を登る。
五十嵐神社拝殿
五十嵐神社拝殿額五十嵐神社拝殿内部
社殿は明治八年(1875)の造営で,拝殿は間口七間の切妻造りである。
五十嵐神社本殿鞘堂五十嵐神社本殿
本殿は覆屋の中にあり,ガラス越しに見ることしかできないが,三間社流造りのようである。

五十嵐神社狛犬五十嵐神社狛犬
拝殿前の狛犬の台座には文久二年(1862)の刻銘がある。
五十嵐神社境内石祠五十嵐神社境内社
境内に神明社の石祠(大正十三年)のほか,中飯田八幡宮(奥)と若宮神社(手前)の社殿がある。

五十日帯彦命陵墓碑
現在の社域全体を五十日帯彦の墳墓とする伝承もあり,拝殿の右手には「五十日帯彦命陵墓」と刻した石碑(平成五年)が建てられている。

(新潟県三条市飯田)
2004.11.7, 2014.6.7, 2020.5.23


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