新潟県神社探訪

桃川神社(村上市桃川〈ももかわ〉)

村上市桃川の桃川神社社頭
桃川神社(ももかわじんじゃ)は,「延喜式」所載の「桃川神社」である。JR 羽越本線岩船町駅の南東2キロメートル,旧神林村の桃川集落に鎮座する。
境内入り口に,明治四十一年(1908)の社号標が建つ。
「神社明細帳」(明治十六年)に「岩船郡桃川村字住吉 村社・桃川神社」とある。
「明細帳」が記す祭神は,意富加牟豆美命と誉田別尊の二柱である。(意富加牟豆美命〈オホカムヅミ〉は邪気を退散させる桃の実であるとされる。桃川の地名と関わる伝承であろうか。)
桃川村の産土神であるが創立年月は不詳。仁安二年(1167),元和三年(1617),寛政元年(1789),天保八年(1837)の再建の記録があるという。
祭神については「七夕彦命,七夕姫命」(越後風土記節解),「神澤女命」(神社帳考証)などの異説もある。
明治四十年(1907)に字瀧ノ沢の多岐神社(多岐里姫命),字南山の神明社(天照大御神),字輪倉の大山祇神社(大山祇命),字栗山の住吉神社(表筒男命,中筒男命,底筒男命),字前田の稲荷神社(倉稲魂命)を合併した。
「桃川村村鑑」(享保十四年〈1729〉七月)の「当村宮社之事」の項には,「神明宮 石動宮〈林〉ママ」「住吉社」「桃川八幡社」が記録されている。
村上市桃川の桃川神社拝殿と本殿村上市桃川の桃川神社拝殿の扁額
明治四十一年に社殿が改築された。社殿の保存状態は良好である。
村上市桃川の桃川神社拝殿向拝柱木鼻村上市桃川の桃川神社拝殿向拝村上市桃川の桃川神社拝殿向拝柱木鼻(右)
向拝部分に三匹の龍が見られる。
桃川神社本殿
流れ造りの本殿も美しい。

桃川神社拝殿境内
拝殿の横に小祠が並ぶ。左端が,今は使われていない神輿を納める神輿庫,中央が集落内の神道信仰家にかかわる神道宮(祖霊社),右は今は物置として使われているが由来は不明(新潟大学民族調査報告書第21集『桃川の民俗』〈2015年〉による)

村上市桃川の桃川神社
2004年8月の社頭の様子(狛犬がまだ置かれていない)。

(新潟県村上市桃川)
2004.8.28, 2015.5.17


旧神林村神社