新潟県神社探訪

関山神社(妙高市関山〈せきやま〉)

関山神社鳥居
関山神社は,関山駅(えちごトキめき鉄道)の西1.2キロメートル,旧妙高村の関山地区に鎮座する。
「神社明細帳」(明治十七年)に「越後國中頸城郡関山村字新林 郷社・關山神社」とある。
関山神社は,奥院にあたる妙高山の里宮である。複式コニーデ型の妙高山は,須弥山(しゅみせん)に見立てられ,信仰の対象であった。
当社は古くから修験の場として信仰を集め,木曽義仲,上杉謙信も崇敬した。
和銅元年(708)に妙高山頂で神霊を感じた一僧が創立して「関山三社権現」と称したとする伝承がある。大同年間(806-809)に弘法大師が参籠したとも伝える。
神社周辺には平安後期の作と思われる古石仏が点在し,ここが信仰の地であったことをうかがわせる。かつて宝蔵院が附設し,神仏習合の「関山大権現」として長く信仰された。戦国期の兵火にかかって衰微したが,江戸期に俊海(上杉謙信の甥という)によって再興された。
明治の神仏分離政策で宝蔵院を廃し,「関山神社」と改称した。
明治四年(1871),柏崎県の郷社に列せられたが,同六年に柏崎県が廃されて村社となった。昭和六年(1931)に県社に昇格した。

関山神社参道関山神社社殿正面
関山神社拝殿
入母屋造り妻入りの大きな社殿は,文化十五年(1818)の建造である(→関山神社社殿の細部)。
関山神社本殿
社殿の奥に置かれた本殿(宮殿)は,一間社流造こけら葺きで,社殿再建に先立つ寛政二年(1790)に作られた貴重な建造物である。
本殿を含む社殿は,平成三十年(2018)に国の有形文化財に登録された。

関山神社関山神社関山神社
本殿に祀られている祭神は,素盞嗚尊(文殊観音菩薩),国常立尊(聖観音菩薩),伊弉冉尊(十一面観音菩薩または白山権現)である。
このうち主尊の銅造菩薩立像(写真中央)は飛鳥時代(6-7世紀)に朝鮮(百済)から伝来したとされ,法隆寺の釈迦三尊像(623年)より古いとも推測される貴重な仏像である。
文殊菩薩像(写真左)は江戸時代の作,十一面観音菩薩像(写真右)は南北朝期から室町時代の作とされている。
明治期の神仏分離政策下で三体の像は「秘仏」として秘匿されたが,昭和三十六年(1961)に開封されて本殿に安置された。

関山神社境内の金比羅堂関山神社境内の石祠
「明細帳」は境内社を二社記録している。琴比羅神社(大物主命)と諏訪神社(健御名方命)である。
今,境内に「金比羅堂」がある。また石祠もあるが諏訪神社の石祠かどうかは不明。

関山神社参道狛犬(吽像)関山神社参道狛犬(阿像)
参道の狛犬は柏崎の著名な石工・小林群鳳の作である。

「延喜式」神名帳の「大神社」(頸城十三座のひとつ)を,この関山神社に比定する説もあるが,確証はない。(「延喜式」記載の「大神社」には論社が多く,糸魚川市一の宮に鎮座する天津神社や,同市八幡山の大野神社ほかを「大神社」とする説がある。)

(新潟県妙高市関山)
2003.3.2, 2008.8.22, 2018.6.3


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