天津神社は,糸魚川市役所の近くに鎮座する。旧県社(昭和18年に昇格)で,稚児舞が伝わっており,国の民俗芸能に指定されている。
「延喜式」神名帳に頸城郡の十三座のひとつ(式内社)として「大神社」(オホムハジンジャ,オホノジンジャ)という社名が記載されているが,所在は不明。
「大神社」にはいくつかの論社があり,この天津神社もそのひとつである。(妙高市の関山神社を「大神社」とする説もある)
境内から弥生式土器はじめ,鉄・石製品,勾玉などが出土しており,この地でなんらかの祭祀がおこなわれていたことを物語る。
祭神は,天津彦火瓊瓊杵尊(アマツヒコホニニギノミコト),天太玉命(アメノフトタマノミコト),天児屋根命(アメノコヤネノミコト)。
拝殿は入母屋造茅葺きの大きな建物である。
本殿は拝殿の裏手に少し離れて建っている。寛政九年(1797)に改築された総欅造りの貴重な建築物で,棟梁「相馬十郎左衛門昌信」の名が伝わっている。
向拝柱だけでなく,縁の下の組物もすばらしい。
向拝部分には豪華な彫刻が見られる。
本殿前の前の狛犬は,なかなか豪壮な姿をしている(文政六年〈1823〉)。
本殿の左には奴奈川神社(ぬなかわじんじゃ)の本殿が並んで祭られている。
(新潟県糸魚川市一の宮,糸魚川駅より徒歩15分)
2002.2.27, 2011.7.16
→天津神社・奴奈川神社(公式サイト)