波除稲荷神社は,JR新橋駅の東1.5キロメートル,築地市場に隣接する。
日比谷付近から始まった東京湾の埋め立て工事は,東南に向かって進んだ。明暦の大火(1657年)後,埋め立て工事がこのあたりに及んだが,堤防が何度も崩れる難工事となった。
ある夜,海面に光を放つ物があり,稲荷大神の御神体であった。人々が社殿を建ててこれを祭ったところ,工事が順調に進むようになり,萬治二年(1659)に埋め立てが完了した。以来「災難を除き波を乗り切る」神徳ありとして崇敬されている。
境内に獅子殿があり,天井大獅子が据えられている。江戸末期に焼失したが平成二年(1990)に再興された。
境内末社があり,天照大神,大国主命,少彦名命,天日鷲命を祭っている。
これとは別に,市杵島姫命(弁財天)を祭る摂社がある。平成十四年(2002)に再興されたお歯黒大獅子が収められており,天井大獅子と対をなしている。
(東京都中央区築地6-20-37)
2009.4.12
→波除稲荷神社(公式サイト)