牛嶋神社は,隅田川東岸の隅田公園に隣接して鎮座する。言問橋のたもとである。
(「牛島神社」とも表記されるが,東京都神社庁の都内神社のご紹介の表記に従った。)
もとは向島須崎町(北東700メートル,長命寺の近く)に鎮座したが,関東大震災後に現在地に遷った。この場所は水戸徳川邸の跡地であった。
社伝によると,貞観二年(860)に神託によって須佐之男命を郷土守護神として創祀した。のち天之穂日命を加え祭り,ついでこの地で天慶元年(938)に薨じた貞辰親王(さだときしんのう;清和天皇の皇子)を合祀した。
古くは王子権現と称されていたが,牛との関わりを持つ伝承があり,また隅田川沿いの本所一帯をかつて「牛島」と呼んだことから「牛島神社」と呼ばれるようになった。
社殿前の鳥居は三輪鳥居と呼ばれる珍しい様式である。
重厚な社殿は東京大空襲の類焼を免れた貴重な建築物である。
境内には,社号にゆかりのある牛の像が数体ある。天満宮以外で牛の像は珍しい。
狛犬も多く,写真のものは享保十四年(1729)の銘を持つわりに古いもの。
(東京都墨田区向島1丁目)
2008.3.9