諸国神社めぐり

生國魂神社(天王寺区生玉町〈いくたまちょう〉)

生國魂神社参道
生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)は,地下鉄(千日前線)谷町九丁目駅の南西400メートルに鎮座する。
俗に「生玉神社」「いくたまさん」とも呼ばれている。
当社は,『延喜式』(神名帳)所載の「難波坐生國咲國魂神社 二座」(攝津國東生郡四座のうちの「明神大社」二座)である。
神武天皇の東征のおり,摂津の石山崎(現在の大阪城の付近)に初めて鎮座したと伝える古社である。
『日本書紀』の孝徳天皇(在位645年-654年)の巻に「仏法を重んじて神道を軽んじた。生國魂社の樹を切ったのがその一例」と,すでに当社に言及がある。
天正十二年(1584),豊臣秀吉の大阪城建築のため2.5キロメートルほど南西の現在地に遷座した。
祭神は生島神(生國魂神)と足島神(咲國魂神)の二柱で,日本の国土全体の神霊である。
現在は上記の二柱のほかに大物主神を配祀している(かつて境内に祀られていたが,永禄元年(1558)の社殿改築の際に本殿に遷されたという)。
生國魂神社拝殿正面
生國魂神社本殿生國魂神社本殿
現在の社殿は昭和三十一年(1956)に再建されたコンクリート造であるが,「生國魂造」と呼ばれる様式の本殿は往時の姿をよく伝えているという。

境内には多くの末社が鎮座する。
生國魂神社境内鴫野神社
鴫野神社(しぎのじんじゃ)は,市寸島比賣命,大宮賣神,淀姫神を祀っており,かつて大阪城の淀君が篤く信仰したと伝えられ,女性の守護神である。
左は源九郎稲荷神社。源九郎稲荷大明神(吉野の源九郎稲荷の分祠という)と八兵衛大明神(1999年に閉館となった道頓堀の中座の奈落に祀られていた)を祀る。
生國魂神社境内の城方向八幡宮生國魂神社境内鞴神社社殿生國魂神社境内の浄瑠璃神社
城方向八幡宮(きたむきはちまんぐう)の祭神は譽田別命,氣長足媛命,玉依比賣命で,かつて大阪城の鬼門の守護神として祀られていた。
鞴神社(ふいごじんじゃ)の祭神は天目一箇神,石凝杼賣神,香具土神で,金物業者の信仰を集める。
浄瑠璃神社は,近松門左衛門はじめ文楽関係者の霊を祀る。
以上のほか,皇大神宮(天照皇大神,豊受姫大神),家造祖神社(いえづくりみおや;手置帆負神,彦狭知神),住吉神社(住吉大神),天満神社(菅原道眞公),稲荷神社(倉稲御魂神),精鎮社(事代主神,比咩大神)が祀られている。

(大阪府天王寺区生玉町13-9)
2007.11.20, 2017.2.9


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