須佐男神社(すさのおじんじゃ)は,JR(福知山線)塚口駅の南東500メートルに鎮座する。
社地は,近松門左衛門の墓がある広済寺に隣接する。
当社は,天徳元年(957)に多田満仲(源満仲)の勧請によって建立されたと伝える古社である。
牛頭天王ほかを祀る神仏習合の信仰が永く続いたが,明治の神仏分離政策のもと,妙見祠を転出して須佐男神社と改称した。
祭神は須佐男命(牛頭天王)と諏訪大明神である。
社殿は元和二年(1616)の建築で,昭和六十年(1985)に修復された。
宝暦年間(1751-1764)に奉納された絵馬「鯉図」ほか,多数の絵馬を収蔵するという。
本社の左手に,愛宕大権現と八幡大明神を祀る境内社がある。
境内社を守る狛犬の台座には「安永九年」(1780)の銘がある。
境内に,源満仲が多田(現川西市)に向って矢を射るのに足をかけたという「矢文石」がある。
矢のゆくえを尋ねたところ,矢は九頭の大蛇を射抜いており,流れ出た血が干上がった跡が多くの田となり,よって「多田」と名付けたという。
清和源氏武士団の発祥の地の多田神社(兵庫県川西市多田院)にかかわる伝承である。
参道入り口の狛犬(年代不明)。
(兵庫県尼崎市久々知1-3-28)
2016.7.23