諸国神社めぐり

手向山八幡宮(奈良市雑司町〈ぞうしちょう〉)

手向山八幡宮鳥居
手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)は,東大寺大仏殿の東南東400メートル,若草山の西麓に鎮座する。
鳥居の横の石標には「手向山神社」とある。
天平勝宝元年(749),東大寺の建立にあたり,その守護神として豊後の宇佐八幡宮から分霊して創建された。
初め,平城宮の南の梨原宮に鎮座し,その後,現在の東大寺境内の鏡池の近くに移転した。
東大寺鏡池
今,東大寺境内の鏡池に厳島神社が祀られている。この裏手が手向山八幡宮の旧社地と思われる。
鏡池近くに鎮座した八幡宮は,治承四年(1180)に戦火で焼失した。
北条時頼によって200メートルほど東の現在地に再建されたのは,建長二年(1250)である。
なお最初の鎮座地とされる梨原宮の場所は,現在の左京三条二坊宮跡庭園(三条大路1-5-37)ではないかと推測されている。
手向山八幡宮神門
鳥居から東向きに一直線に延びる参道の奥に神門がある。(背後は若草山。)
手向山八幡宮本殿
神門をくぐると拝殿と本殿が建っている。
本殿は全貌が見にくいが,三間社が横に三棟並ぶ入母屋造である。 主祭神は応神天皇で,ほかに姫大神,仲哀天皇,神功皇后,仁徳天皇を祀る。

手向山八幡宮境内の武内社
本殿の左(北)に,武内社(祭神は武内宿禰)が祀られている。
屋根の傷みが激しい。
武内社のほか,本殿の周囲に高良社,若宮社,若殿神社,坂本神社恵比寿神社合殿,住吉神社,東照宮などが,また神門の外に鑰取神社白山神社が鎮座する。

手向山八幡宮境内の菅公腰掛石
境内に「菅公腰掛石」がある。菅原道真公がここに腰掛けた時,神社は鏡池のほとりに鎮座した。
百人一首所収の有名な歌「このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢのにしき 神のまにまに」の石碑が置かれている。
(この歌の「手向山」はこの地ではなく,吉野山だとする説もある。)
手向山八幡宮二の鳥居
社地の北方,東大寺三月堂に面した鳥居には「手向山八幡宮」とある。

(奈良県奈良市雑司町434)
2017.8.25


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