諸国神社めぐり

宇治上神社(宇治市宇治山田〈うじやまだ〉)

宇治上神社社頭
宇治上神社(うじがみじんじゃ)は,京阪電鉄(宇治線)宇治駅の南東500メートルに鎮座する。
『延喜式』(神名帳)に「宇治神社二座」(山城國宇治郡十座のうち)とある。
応神天皇が崩御すると,御子で皇子嗣に立てられていた菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)と異母兄の大鷦鷯(おおさざき,後の仁徳天皇)は皇位を譲りあい,菟道稚郎子は自害して兄に位を譲った(謀殺されたとも)伝える。 郎子の神霊を祀ったのが当社の起源とされている。
『延喜式』に「二座」とあるのは,主催人の郎子のほか,父の応神天皇,あるいは兄の仁徳天皇,さらに母の矢河枝比売を祭神とする諸説がある。
現在は,本殿(覆屋)内に三棟の内殿が並び,それぞれ菟道稚郎子,応神天皇,仁徳天皇の三柱を祀るとされている。
なお,当社の南西に鎮座する宇治神社(祭神は菟道稚郎子)と当社を合わせて「二座」とする説もある。両社は明治以前は一体で,当社を「上社」「本宮」,宇治神社を「下社」「若宮」と呼び,合わせて「宇治離宮明神」と称していた。

宇治上神社本殿
本殿は平安時代後期(11世紀後半)の造営とされ,現存する神社建築としては最古のもので,国宝に指定されている。
三棟の内殿はいずれも一間社流造で,五間社流造の覆屋で保護されている。覆屋と内殿は構造的に一体となっており,左殿と右殿の屋根は覆屋の屋根と共通である。
宇治上神社本殿(第一殿)
向かって右の内殿(第一殿)に主祭神の菟道稚郎子を祀る。
宇治上神社本殿(第三殿)宇治上神社本殿(第二殿)
向かって左の第三殿に仁徳天皇を,中央の第二殿に応神天皇を祀る。

宇治上神社拝殿宇治上神社拝殿(裏)
本殿前の神殿造の拝殿は鎌倉時代前期の造営で,これも国宝に指定されている。

境内社がいくつかある。
宇治上神社境内春日社
一間社流造の春日社(建甕槌命,天児屋根命)は鎌倉時代後期の建造とされ,国の重要文化財である。
春日社の奥は住吉社(上筒男命,底筒男命)と香椎社(神功皇后,武内宿禰神)。
このほか武本稲荷社(倉稲魂命),厳島社(市杵島姫命),また武本大神の石塔がある。

(京都府宇治市宇治山田59)
2019.12.18


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