諸国神社めぐり

松尾大社(京都市西京区嵐山宮町〈あらしやまみやちょう〉)

松尾大社鳥居
松尾大社(まつのおたいしゃ)は,阪急電鉄(嵐山線)松尾大社駅の西300メートル,松尾山の東麓に鎮座する。
『延喜式』(神名帳)に「松尾神社二座」(葛野郡二十二座の二)とある古社である。二座ともに「名神大社・月次相嘗新嘗」と,社格が高い。
当社の源流は,松尾山の神霊に対する太古の信仰に発すると推測されるが,現在の祭神は大山咋神と市杵島姫命の二座,すなわち山の神と海の神である。
伝承によると,戊辰の年(668年?)に筑紫国の「中都大神」が松埼日尾(あるいは日埼岑)に降臨し,大宝元年(701年)に松尾に遷座して社殿を造営したとされる。
今,松尾山の山中に「御神蹟」の磐座があり,これが降臨の場所とされている。
「中都大神」は市杵島姫命の別名という。古くから当社と関係の深かった渡来系の秦氏が海上交通を守護する市杵島姫命を奉斎し,旧来の山の神への信仰と結びついたとも考えられる。
当社は,天平三年(720)に「大社」の格を得てより次第に地位が上昇し,延暦三年(784)に従五位下,同五年(786)に従四位下,承和十二年(845)に正四位下,貞観八年(866)に正一位に昇格し,諸天皇の行幸が続いた。
明治四年(1871)に官幣大社に列せられた。

松尾大社鳥居松尾大社楼門
境内入口の鳥居の額は,有栖川宮幟仁親王の筆で「松尾大神」と書かれている。
参道の奥に建つ楼門は寛文七年(1667)の造営である。
松尾大社拝殿
拝殿は入母屋造妻入り檜皮葺で,江戸初期の建築である。
松尾大社本殿松尾大社本殿
本殿は応永四年(1397)に再建され天文十一年(1542)に改修されたものであるが,随所に室町期の様式を残しており,国の重要文化財に指定されている。屋根の形状は,神社には比較的珍しい「両流造」である。

松尾大社境内滝御前松尾大社境内三宮社と四大神社
本殿の北に境内社が並んでいる。
滝御前(罔象女神),三宮社(玉依姫命),四大神社(春若年神,夏高津日神,秋比売神,冬年神)である。

松尾大社境内社
本殿の南に境内社が並んでいる。
手前から衣手社(羽山戸神),一挙社(一挙神),金刀比羅社(大物主神),祖霊社(当社の功労者)である。
境外摂社としては,月読神社,,櫟谷宗像神社などがある。

(京都府京都市西京区嵐山宮町3)
2019.9.25
松尾大社 - MATSUNOO TAISHA(公式サイト)


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