賣布神社(めふじんじゃ)は,阪急(宝塚線)売布神社駅の北西300メートルに鎮座する。
古文献の訓は「ヒメフ」であるが,現在は「メフ」と呼ばれている。
当社は『延喜式』(神名帳)所載の「賣布神社」(摂津国川辺郡七座の一)である。
社伝は推古天皇十八年(610)の創立とするが確証はない。
祭神は高比賣神(タカヒメノカミ=下照姫神)で,天稚彦神(アメノワカヒコノカミ)を配祀する。
明治六年(1873),郷社に列せられた。
鳥居の先の平坦地を進むと参道の石段があり,その向こうの高台に社殿が建っている。
拝殿の裏の本殿は檜皮葺流造で文化十三年(1816)の建造であるが,覆屋で保護されており,見えない。
中世以来「貴布禰社」「貴船大明神」と称されたが,元文元年(1736),寺社奉行の命による並河誠所(なみかわせいしょ)の調査で当社が『延喜式』所載の「賣布神社」であることが判明し,「賣布社」の標石が建てられた。
境内に厳島神社,豊玉神社,稲荷大神がある。
(兵庫県宝塚市売布山手町1-1)
2019.3.9