古宮八幡宮(こみやはちまんぐう)は,JR(日田彦山線)採銅所駅の近くに鎮座する。
当社は香春岳の三ノ岳の神・豊比咩命(トヨヒメノミコト)を祭る古社である。はじめ阿曾隅(あそくま)という場所に鎮座したが,慶長四年(1599),現在地(高巣の森)に遷座したという。
当社の南方5キロメートルに鎮座する香春神社には三神(辛国息長大姫大目命,忍骨命,豊比咩命)が合わせて祭られているが,当社はその源流の一神社ということになる。
当社は香春神社とのつながりのほか,八幡神とも関係が深い。養老四年(720),神託によって三ノ岳で採掘した銅で神鏡を造り,宇佐神宮(大分県宇佐市)に奉納したという。(神鏡を鋳造した場所が清祀殿である。)
こうした縁により,貞観元年(859)には宇佐神宮から応神天皇(八幡神)と神功皇后を勧請し,「八幡宮」を称することになったとされる。
ところで,宇佐神宮の「二の御殿」には比賣大神(ヒメオホカミ)が祭られているが,あるいは当社が祭る豊比咩命は宇佐の比賣大神なのであろうか。(香春神社が祭る豊比売命は,香春神社の例祭がおこなわれる時以外は,ここ古宮八幡宮に戻っているとされ,当社は香春神社とは距離をおいているようにも思える。)
石垣の上に平入の拝殿と本殿が建っている。
両流造に近い本殿は,安政四年(1857)に再建されたもので,みごとな彫刻で埋められている。
本殿側面の彫刻。
本殿正面上部の装飾。
本殿の横には白鳥神社の社殿が建っており,また参道の入り口に蛭子社が祭られている。
(福岡県田川郡香春町大字採銅所)
2010.2.12