にいがた百景

水路橋(新潟市西区槙尾〈まきお〉)

新川の上に西川が通る水路橋
内野駅(JR越後線)の南,新川に架かる水路橋は,立体交差する川として知られている。
何気なく写真を見ると,大河の上に橋を架けて新しい水路を作ったように見えるが,そうではない。
橋のように見える細い水路がもともとこの場所を流れていた川(西川)なのである。その下の大きな流れが,人工的に掘られた新川である。
つまり「川の下に大河を掘った」のである。

水路橋水路橋
内野地区を含む西蒲原一帯は,水の出口の少ない湿地帯であった。比較的大きな川としては,はるか東の信濃川に合流する西川しかなく,しばしば氾濫して水害をひき起こしていた。そこで,新たな水路の開鑿が計画された。
この水路工事には,既存の西川の下にトンネル(「底樋」と呼ばれる木製の水路管)を掘って水流を交差させ,最短距離で水を海に流し込む方法が採用された。工事は3年を費やし,1820年に「新川」の立体交差が完成した。
現在の水路橋は三代目である。鉄枠の付いた細い水路がもともとの川(西川)で,その下の広い流れが新川である。
新川元橋から河口を見る
新川元橋から河口を見る。河口は,釣り人でにぎわう新川漁港である。
右岸の林には,佐渡から飛来したトキがしばらく住んでいた(2009年7月から11月)

新川開削工事のようす
新川開鑿工事のようす(みなとぴあ新潟市歴史博物館による復元)。
新川暗閘
大正二年(1913年)には「二代目」となる「新川暗閘」が完成した(レンガと花崗岩による)。アーチの上に「新川暗閘」の銘鈑が見える
(「内野コミュニティだより」第2号〈内野コミュニティ協議会,2007年〉より)
復元された新川暗閘新川暗閘の銘鈑
「にいがた水と土の芸術祭2009」で,二代目の新川暗閘が復元展示された。
近年発見された御影石の銘鈑なども並べられている。
この新川暗閘が老朽化したため,昭和三十年(1955)に竣工したのが現在の鉄製の「西川水路橋」である。

(新潟市西区槙尾,JR内野駅から徒歩10分)
2004.9.15, 2006.11.25, 2009.8.14, 2009.8.23, 2010.8.15


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